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スタッフブログ

【消化器外科】大腸外科と感染症~とくに耐性菌について

2016-10-20
ブログ更新情報

自己紹介

こんにちは。消化器外科医長 野口忠昭 と申します。
私は神奈川県出身で、大学時代は四国の高松、外科研修は東京の虎の門病院、内視鏡等を静岡県の川村病院で学びました。2011年4月から当院で勤務しています。
私は前職場で東日本地震を経験しました。ちょうど手術中でしたが、無影灯が大きく揺れ、肝を冷やしました。その後は断水や計画停電もあり、次は東海地震や富士山噴火が連鎖すると噂がとび、浜岡原発は大丈夫?と、怖い思いをしました。どうして熊本に来たのかとよく聞かれますが、地震で避難してきたわけではありません。大腸肛門病で全国的に有名な当院で研鑽を積もうと思ったからです。自然豊かな熊本の土地も気に入って住み続けています。地震の影響はまだまだ続きますが、良い形に復興してくれたらと願っています。

大腸癌手術と感染について

大腸手術の安全性はかなり高くなりました。手術自体で亡くなる人はほとんどなくなりました。しかしまだ危険もあります。その第一はやはり感染症です。それはいくら消毒してもきれいになりきらない、便の通り道、大腸を扱うからです。キズだけではなく、肺炎や腸炎、尿路感染などが起こることもあります。しかしいろいろな工夫を重ね、術後の感染症は年々減ってきています。各論的な話は、またの機会にしたいと思います。

 

耐性菌について

耐性菌、とは何かご存じでしょうか?抗菌薬(抗生剤のことです)が効きにくい菌のことで、昔はMRSAが有名でした。最近はMRSAが減ってきて、低毒性のものが多いです。 最近はカルバペネムという切り札抗菌薬に耐性をもった腸内細菌が世界で問題になっています。これは家畜の飼料にも抗菌薬が含まれているなど、抗菌薬の使い過ぎが原因となっています。腸内細菌は毒性が強く、カルバペネムが効かなくなることは「悪夢」と表現されていましたが、今や世界ではどんどん広がっています。毎年のサミットでも話題になっていて、今年の伊勢志摩サミットでも声明が出されていました。

 

耐性菌対策

このような菌は日本は比較的少なく、当院でもまだ出ていませんが、世界が狭くなった現代では時間の問題かもしれません。予防が第一です。知らない間に院内で広がらないよう、スタッフは日ごろから手洗いや消毒をしっかり行い、マスク、手袋などをつけるように注意しています。感染対策チームが目を光らせ、抗菌薬の使い方も注意しています。抗菌薬は将来世代へ残すべき、限りある資源です。たとえば、ウイルス性の風邪に抗菌薬は効きません。不必要に抗菌薬を使わないことが耐性菌を出さないために大切なことです。
 

 


タグ: 消化器外科
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