院内感染対策のための指針
院内感染対策のための指針の目的
この指針は、院内感染の予防・再発防止対策ならびに発生時の適切な対応などの体制を確立することにより、適切かつ安全で質の高い医療サービスの提供を図ることを目的とする。
1.院内感染対策に関する基本的考え方
管理者は感染管理の基本は感染の連鎖を断ち切ることであることを認識し、標準予防策と感染経路別予防策の二つの方法から適切な感染対策を講じ、実施及び指導しなければならない。また、定期的に院内感染対策の評価・見直し・改善を行うこととする。
① 標準予防策
適切な手洗い・適切な防御用具(手袋・マスク・ガウン等)の使用・適切な医療機器の消毒・適切なリネン類の管理・適切な清掃等
② 感染経路別予防策
感染力の強い、重篤な病態を引き起こす感染症の患者に対して、必要な感染経路別予防策(接触感染予防策、飛沫感染予防策、空気感染予防策)の実施・指導
③ その他の事項
◇職員の健康管理・・・職員の肝炎予防・結核予防・インフルエンザ予防等の健康管理に努める。
◇患者・家族指導・・・患者からの二次感染予防のための方策を患者・家族へ指導する。(個別指導および情報の掲示等)
外来トリアージ(感染症の疑われる患者への優先診療等)
◇抗菌薬の適正使用・・・抗菌薬使用は、慎重に薬剤選択、投与期間を決定し使用する。(ガイドラインやエビデンス情報を参照する)
2.委員会組織の基本的事項
「院内感染対策のための指針の目的」を達成するため、当院に「院内感染対策委員会」を設置する。(以下、「委員会」とする)
また、委員会の直属として「感染制御チーム」を設置し定期的活動を通じて、感染に対する諸問題について適切及び迅速な対応を行うものとする。
「委員会」、および「感染制御チーム」は別途定める規程により活動を行う。
3.院内感染対策のために従事者に対する研修に関する基本事項
当院における院内感染対策に対する基本的な考え方や予防・再発防止策の周知徹底のため職員全体を対象とした教育・研修を計画的に実施する。
① 研修の目的
個々の職員の院内感染に対する意識を高め、業務を遂行する上での技能や医療機関の一員としての意識の向上等を図る。
② 研修の実施
年2回定期的に開催するほか、必要に応じて開催すること。
ただし当該医療機関外での研修を受講することでも代用できるものとする。
③ 研修の内容
研修は、院内感染対策に関する基本的考え方および具体的方策についての内容が含まれているものとする(標準予防策・感染経路別予防策・職業感染事故防止などに関する教育)
④ 研修の記録
研修を実施した際は、その実施内容(開催日時もしくは受講日時、出席者、研修項目)を記録し保管する。
4.感染症の発生状況の報告に関する基本方針
① 平成19年4月1日の「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律第12条第1項及び第14条第2項に基づく届出の基準等の一部改正」に 従い、感染症の患者等を診断(死亡検案事例含む)した場合は、直ちにまたは期限内に届出様式に沿って管轄の保健所長に届け出る。
② 届出書類・関連書類の適切な保管をする。
5.院内感染発生時の対応に関する基本方針
① 職員は院内感染が発生した場合及び発生の恐れがあると判断した場合は速やかに管理者に報告する。
② 管理者は院内感染の報告を受けた場合、院内感染発生時の基準に従い行動する。
③ 情報の共有を行い、感染の拡大防止に努める。
④ 院内のみで対応が困難な事態が発生した場合、アウトブレイクあるいは異常発生が考えられるときは、地域保健所と連絡を密にして対応する。また、地域の専門家等に相談が行われる体制を確保することが望ましい。
※ 管理者は感染症の発生動向の情報共有に努め、院内感染の発生予防およびまん延防止を図る。
※ 感染対策マニュアルに従って行動する。
6.患者等への指針の閲覧に関する基本方針
本指針は患者およびその家族から閲覧の求めがあった場合には、これに応じるものとする。
7.その他の医療機関内における院内感染対策の推進のために必要な基本方針
① 「院内感染対策のための指針」に即した院内感染マニュアルを整備する。
② 感染性廃棄物の適切な処理を行う
感染性廃棄物マニュアルの周知徹底
③ 管理者は院内感染予防対策の定期的な実施評価および職員教育を行う。
平成19年6月作成
平成24年4月改訂
平成29年8月改訂