患者の皆さまの権利と責任
患者の皆様は医療を受けるに当たり、以下の様な権利を有します。
1.人格を尊重される権利
2.プライバシーを保証される権利
3.平等な医療を受ける権利
4.適切な医療を受ける権利
5.自己の医療に関する情報を知る権利
6.自己の医療行為を選択し、同意あるいは拒否する権利 など
また、責任として、自己の心身の状況などを医療者に話し、指導された療養については専心これを守らなければなりません。お互いに協力して医療の効果をあげることこそが大切です。
社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院 倫理委員会
はじめに
昨今、医療の現場では、インフォームド・コンセント(十分な説明を受けた上での同意)と患者の皆様を主体にした医療を提供することが、強く求められるようになってきました。
また、最先端の科学技術を取り入れたさまざまな医学・医療技術の進歩に伴い、今まで予想もしなかった多くの倫理問題が浮かび上がってきています。
このような背景のもとに、全国の主な病院では、倫理委員会が設置され、医療行為や臨床研究においては、患者の皆様の人権や権利が第一に保護されなければならない、という立場で審議が行われています。
当院におきましても、医療全般のあり方を審議するために、1997年11月1日に病院長の諮問機関として、倫理委員会(正式名:社会医療法人社団高野会 大腸肛門病センター高野病院 倫理委員会)が発足致しました。
そしてこの度、この倫理委員会におきまして、患者様と病院双方が、お互いの権利と責任を認識し、協力し合うことで、満足度の高い医療を提供できることを願い、「患者の皆様の権利と責任について」の解説を作成いたしましたのでご紹介いたします。
人権を尊重される権利
人格を尊重するということは、あらゆる人間関係の基本と考えられます。
医療の場におきましても、患者の皆様の人格に関すること、例えば、生命・身体・自由・名誉・信条などは、尊重され、保護されなければなりません。患者の皆様は、思いやりのある丁重な診療を受ける権利を持っているということです。
プライバシーを保証される権利
患者の皆様の様々な個人情報、例えば、病院に通院していること・病名・病歴・生年月日・住所・職業・家族構成などは、皆様の承諾なしに、医療従事者から関係のない第三者に漏らされることはありません。また皆様は、ご自身の情報について、秘密が固く守られることを保証される権利を持っています。
また患者の皆様は、ご自分の診療に関して、プライバシーに対するあらゆる配慮を求める権利があります。例えば、医師が検査や治療をおこなう時に、あるいは症例検討や他の専門医の意見を求める際には、秘密を守って慎重に行うよう求めることができます。
平等な医療を受ける権利
患者の皆様は、政治的・社会的・経済的地位や、人種・国籍・宗教・信条・年齢・性別・疾病の種類などにかかわりなく、等しく適切な医療を受けることができます。
病院は、社会的地位の高い人や経済的に余裕のある人を優先したり、治療の方法を変えたりすることをしてはいけません。
適切な医療を受ける権利
患者の皆様は、病院の能力の範囲で、適切な医療サービスを受ける権利があります。
また、病院は、患者の皆様の病状に応じて、診療や他医への紹介などを行わなくてはなりません。
転院が医学的に望ましい場合でも、転院がなぜ必要かということと、転院しない場合には、ほかにどういう方法があるかということについて、十分な説明を受ける権利を有しています。
さらに患者の皆様は、診療が退院後なども合理的に継続されることを求める権利があります。
また、病院は、診療の継続を保証する仕組みを備えていなければなりません。
自己の医療に関する情報を知る権利
患者の皆様は、医療者に自分の診断・治療・今後の予測に関する最新の詳細な情報を、わかりやすい言葉で伝えることを、求める権利があります。そのような情報を患者の皆様にお知らせすることが、医学的見地から適当でないと思われる場合、病院は、本人に代わる適切な人に伝えなければなりません。
また患者の皆様は、何らかの処置や治療をうける前に、インフォームド・コンセント(十分な説明を受けた上での同意)を与えるのに必要な情報を、医師から受ける権利があります。このインフォームド・コンセントを与えるための情報のなかには、緊急時を除いて、少なくとも特定の処置や治療の目的・方法・内容、また医学上の危険性や、通常の心身機能が制限される状態の続く予想期間などを含んでいなければなりません。
さらに、現在の診療について医学的に見て有意義と考えられる別の方策がある場合、あるいは患者の皆様が他の医学的方法を教えて欲しいと要求された場合は、患者の皆様はそれに関する情報を受け取る権利があります。
そして自分の診療に関して責任を持つ医師の名前を知る権利があります。
また患者の皆様は、御自身の診療の記録(診療録)とレセプト(診療報酬明細書)の開示を求めることが出来ます。そして病院は治療効果への悪影響が明らかな場合を除いて、法律の定める範囲で求めに応じなければなりません。
自己の医療行為を選択し、同意あるいは拒否する権利
患者の皆様は、自分に対する医療行為に関しては、十分な情報を知らされた上で、自分自身で適切と判断する医療行為を選択して、同意する権利があります。
また患者の皆様は、法律が定める範囲内で、自分への医療行為を拒否する権利があり、その場合には、医学的にどういう結果になるかを知る権利があります。
さらに、病院は身体や治療に影響を与える臨床試験を行う意図がある場合、医師は患者の皆様にそれを事前にお知らせしなければなりません。そして、患者の皆様はその種の臨床試験への参加を拒否する権利があります。
1997年11月作成/2003年6月修正/2016年2月修正