ごあいさつ

当院は1981年に名誉会長である高野正博が開設した大腸肛門の専門病院で、肛門科、消化器外科、消化器内科から始まりました。その後、大腸肛門手術後に高頻度に排尿障害を来すことから泌尿器科を、心身症から消化器の障害が発生することから心療内科を、高齢化社会を迎え便失禁等の大腸肛門機能障害が発生することから大腸肛門機能科を拡充させ、各科が連携しながら、現在では “大腸肛門疾患を治療する総合病院”の役割を担うべく診療にあたっております。私は、こうした病院機能の進化を支えた先生方の長年の努力と信念に深い敬意を表し、その精神を引き継いでいく所存です。
当院は大腸肛門疾患に特化した急性期病院として、患者の皆様への先進的な医療の提供に努めておりますが、75歳以上の後期高齢者が2011 年の1.6倍になると予測されている2025 年に向け、病院の機能分化と強化、職員の育成、連携、予防医学(検診)の充実がますます重要となってきています。こうしたニーズに対し、当院では2017年に新設した4つのセンターと肛門科を中心に、さらに専門性を追求し続けてまいります。
また、医療の提供において、常に「人」、すなわち「患者様」と「職員」が中心にあります。病院の使命を果たす為には、職員一人一人の意欲と成長が不可欠です。医療者としての「志」をもって当院に入職した職員が、自身の能力を発揮し、自己実現を達成できる環境を整えていきます。
そして、今後の病院運営にあたっては、当院の理念である5Sを基に患者様の診療に当たり、医療機関との連携を深め、より一層信頼され、愛される病院づくりを目指してまいります。

私たちの病院は1981年の創設以来、大腸肛門の領域で日本をリードする病院を志し診療や研究を行ってきました。当院では「肛門科」を中心に「消化器外科」、「大腸肛門機能診療センター」、炎症性腸疾患と呼ばれる腸の難病を診る「IBDセンター」、そして「消化器内視鏡センター」の4つの組織を柱とし、熊本だけでなく全国、そして国内だけでなく海外からも患者さんにご来院いただき、専門病院として最先端の診療を提供できるよう努めております。
現在、我が国は少子高齢化の一途をたどり、地域医療を取り巻く環境も刻一刻と変化しています。こうした不安定な地域医療に貢献するため、地域の皆様のニーズを理解し、地域住民の健康を守るため、近年我々は様々な取り組みを開始しています。
具体的にはがんの終末期の方の緩和ケアや回復期の方の受け入れです。2017年、大江の地に移転した際に緩和ケア病棟を立ち上げ、大腸肛門の領域に限らず様々ながん患者の方の受け入れを開始しました。一方で呼吸器や循環器などの領域について、急性期を過ぎているのに諸般の事情で退院できない方を受け入れ、リハビリテーションなどを行い帰宅準備の支援をしています。また、子育てをしやすい地域作りの一助となれるよう、小児の便秘や過敏性腸症候群などに対する診療にも力を入れています。
2024年秋、我々は新たな体制となります。大腸肛門の診療の充実と終末期・回復期のケアによる両輪で、今後も医療技術の向上やスタッフの教育に力を入れ、皆さまに信頼される病院を目指してまいります。これまで以上に地域の皆さまの健康を心から願い、ともに歩んでいけることを楽しみにしています。

私たちは、地方の一民間病院でありながら、日々の診療活動の成果を、臨床研究として論文などで発表することにより、国際的かつ学術的にも貢献してきました。
ひと口に大腸肛門の病気といっても、その中身は多岐にわたります。私たちは、大腸肛門病に特化した病院として、専門的な治療を実践しております。
また、開院以来掲げてきた大腸がんの撲滅はもちろんのこと、痔などの良性疾患、潰瘍性大腸炎やクローン病といった指定難病疾患、便秘や便失禁など機能性疾患のほか、あらゆる病気に対応しながら、患者さんの目線で、そのニーズを探り、科の機能を広げて制度化し、このたび新病院の開院とともに4つのセンターに結実させました。
新病院は、ハード、ソフト両方において、きめ細かな創意工夫がなされています。ここでさらに実力を伸ばしていくことを病院職員一同が心に刻み、大腸肛門分野の診療と研究で日本、世界をリードする存在となりたいと思います。