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消化器外科ブログ

【消化器外科】早期大腸癌、「追加で腸管切除」必要なの?

2016-09-05
ブログ更新情報

今回は、外科医長の田中正文 が担当します。

まず、自己紹介

平成6年に防衛医科大学校を卒業、「何でも診られる医者になろう」と外科の医局に入りました。その当時の教授が大腸グループで、「やっぱり主流派?」と考え大腸を専門とすることになりました。その中で指導医(現教授)が大腸外科病理を研究していたのでそれからずっとかかわっています。

 

「大腸外科病理」って何?

大腸癌には「小さくても悪いやつ」、「大きくてもおとなしいやつ」がいます。それを顕微鏡で見て「悪いやつ」なのか「おとなしいやつ」なのかを判断し、手術するのかしないのか、抗がん剤治療を行うのか行わないのか、方針を決定するのが「大腸外科病理」となります。

 

早期大腸癌、「追加で腸管切除」必要なの?

今回は「大腸外科病理」の中から「早期大腸癌の追加腸切除」にかかわる疑問について解説します。

わかり易く言うと「内視鏡でポリープがきちんと取れ、病理を調べてみると早期の大腸癌だと言うのに、癌がリンパ節に転移している可能性が10%程度あるから、後でその部分の腸まで手術で取りましょうと言われたけど本当に必要か?」ということです。

 

最新の大腸癌治療ガイドライン(2014年版)では大腸早期癌の摘除標本の組織学的検索で、
①SM浸潤度1000μm以上、
②脈管侵襲陽性、
③低分化腺癌・印環細胞癌・粘液癌、
④浸潤先進部の簇出(budding)Grade2/3
の一因子でも認めれば、追加治療としてリンパ節郭清を伴う腸切除を考慮する”とされています。

 

難しい内容ですが、「以上の4つの因子の内どれか当てはまれば、癌がリンパ節に転移している可能性が10%程度あるから追加で腸切除手術を考えたほうがいいですよ」ということです。
しかし、残りの約90%にはリンパ節転移が無いわけですが、腸切除を行わず経過を見てリンパ節再発をきたした場合、確実に治す方法が無いため、「手術を受けない選択」には慎重にならざるを得ません。

 

大腸肛門病センター高野病院では、更なる「手術を受けない選択」に寄与する可能性のある因子として低分化胞巣(poorly differentiated clusters)に着目し、因子を増やして検討すると、因子を一つも認めない場合、リンパ節転移の危険性は非常に低いことが分かり、「手術を受けない選択」の一助となるよう患者様への説明に活用させていただいております。

 

以上の内容は第82回大腸癌研究会で発表し優秀発表賞をいただき、大腸疾患NOW2016(日本メディカルセンター発行)に寄稿しています。

▲大腸癌を顕微鏡でみたもの_ほぐれてパラパラしたものは転移しやすい


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