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消化器外科ブログ

家族性大腸腺腫症ってどんな病気?

2016-06-27
ブログ更新情報

 はじめまして。大腸肛門病センター高野病院 消化器外科部長の佐伯と申します。私は当院で主に消化器外科(大腸癌をはじめとした悪性疾患や胆石や虫垂炎等の良性疾患)を担当しています。

 

 さて今回は、特殊な遺伝性疾患(家族性大腸腺腫症)についてお話をしたいと思います。

 

家族性大腸腺腫症と遺伝

  がん情報サービス※外部リンク

 家族性大腸腺腫症は、家族性大腸ポリーポージスとも言いますが、大腸にポリープがたくさんできる病気で、家族性と名がつくように遺伝で起きます。

 常染色体優性遺伝で、両親どちらかがこの疾患の場合50%の確率で遺伝していきます。(中学生の頃、メンデルの法則を習ったと思いますが覚えていますか?)

 家族性大腸腺腫症は、70%は遺伝(APC遺伝子)が証明されていますが、30%程度は家族歴(遺伝)がわからない場合もあります。

 

放っておくとどうなるの?

 典型例では、10代で大腸にポリープ(腺腫)ができ、どんどん数(100個以上)が増えてきます。放っておくとポリープが癌となり40歳代では約半数の人が癌、50歳代でほぼ100%癌になります。

大腸癌(  疾患情報へリンク)になれば、みなさんご存知のように徐々に進行し転移(他の臓器に癌が飛ぶこと)を起こして治らなくなることがあります。

 

家族性大腸腺腫症と大腸以外の疾患

 名前からすると大腸だけの病気に思えますが、実はいろいろな場所に病気をおこします。 胃や十二指腸や小腸(ありとあらゆる消化管)にポリープができたり、骨に腫瘍ができたり、デスモイドといった軟部腫瘍ができたりと、さまざまな大腸以外の病気が出て癌になったりします。

 

診断と治療方法

 診断方法として、大腸内視鏡検査で確認する必要があります。10代前半までは、大腸内視鏡検査は難しいと思われますが、10代後半から20代になれば十分検査は可能です。

 大腸ポリープ(腺腫)が多数確認され家族歴があればまず間違いないと思われますが、ポリープが確認できない場合でも家族歴がある場合には、しばらく定期的に検査を行っていく必要があります。

 治療方法は、大腸ポリープができる基となる大腸を切除する必要があります。大腸全摘を行っても肛門と小腸をつなぐことで永久的人工肛門を避けることは可能です(  疾患情報へリンク※参照:潰瘍性大腸炎の大腸全摘手術)。 また大腸がなくなる欠点として便が下痢になりますが、薬物療法やその他の治療法(肛門トレーニング等)によりコントロールすることは可能です。

 

遺伝相談や治療相談

 遺伝的な病気であるため本人はもとより家族は大変なショックや不安があります。 子供に遺伝しないかとか、どんなことに気を付ければいいか、ほかに治療法はないのか等々悩まれたりすることがありますので、一度専門家に相談されることをお勧めします。 ご不明な点等ございましたら、当院 消化器外科を訪ねてみてください。

 

写真

▲大腸全摘手術した大腸(多数のポリープと4個の大腸癌)
※クリックすると拡大します。

 

 がん情報サービス(遺伝性腫瘍・家族性腫瘍)※外部リンク

 疾患情報 大腸がん

 疾患情報 大腸全摘手術

 消化器外科


タグ: 消化器外科
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