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疾患情報

消化器外科

大腸がん

大腸がんの治療(手術)

大腸がんの手術にはいくつかの種類があり、病変の場所・程度によって術式を選びます。
術前および術中迅速病理診断でリンパ節転移が疑われる場合は、広い範囲でのリンパ節郭清を行います。
リンパ節転移を認めない場合は、壁深達度に応じてリンパ節郭清を行います。

  • ●腹腔鏡下手術

  • ●結腸がん
      結腸切除術(下図)

  • ●直腸がん
      自律神経温存術
      肛門温存術
         低位前方切除術
         超低位前方切除術
         内肛門括約筋合併直腸切除術(ISR)
      直腸切断術、骨盤内臓全摘術 等

大腸がんの治療(手術)

 

大腸癌に対する鏡視下手術の利点と欠点

少しでも苦痛や侵襲が少ない手術の実現を目指して、腹腔鏡というカメラを使用した手術が導入されました。

鏡視下手術の利点と欠点

大腸がんの治療(手術)

大腸がんの治療(手術)

最近は症例を選んでさらに術創を小さく、少なくする単孔式手術にも取り組んでいます。

 

直腸がんの手術方法は、がんの部位、大きさ、進行度によって異なります。(図1)
直腸は直腸S状部(RS)、上部直腸(Ra)、下部直腸(Rb)に分けられ、RSがんとRaがんに対しては、一般的に ①「高位前方切除術」②「低位前方切除術」が行われます。腹膜反転部より上で腸をつなぎあわせるのを高位前方切除術、腹膜反転部より下でつなぎ合わせるのを低位前方切除術といいます。
さらに肛門挙筋の直腸付着部で直腸を切離・吻合する方法を ③「超低位前方切除術」といいます。(図2)
また、Rbがんに対しては永久的な人工肛門をつくる直腸切断術(マイルズ手術)が行われてきました。このような永久的な人工肛門を避けるべく、当院では 「内肛門括約筋合併直腸切除術(intersphincteric resection:ISR)」に積極的に取り組んでいます。
このような手術は、人工肛門を作らない括約筋温存手術です。

なお、切除不能であったり、吻合が不能である場合には、直腸切除あるいは切除せずに人工肛門を造る手術(ハルトマン手術)を行う場合もあります。

直腸癌:括約筋温存手術 図1

 

直腸癌:括約筋温存手術 図2

狭い骨盤の中で結腸と直腸とを手で縫合することは不可能ですが、器械を用いることによって吻合が可能となりました。(図3)

さらに、手術後の便漏れを起こりにくくする方法に「J型結腸嚢(のう)(J-pouch)」を作成する方法があります。通常の「肛門吻合法」では、結腸を直接肛門に吻合するため、結腸の運動の強さに肛門括約筋が負けて便漏れが起こりやすくなります。そこで、結腸の端をJ型の袋状(J型結腸嚢)に縫合して肛門と吻合すると、結腸の運動が弱くなり、便漏れが起こりにくくなります。(図4)

 

術後の生活を考え自律神経を温存

直腸がんの手術では従来、自律神経を切り離した手術が行われていましたが、がんの性質や進行の程度に応じて、各種の自律神経を温存する手術方法(全温存法、片側温存法、部分温存法)を行っています。
従来の自律神経を切り離した手術方法と比較すると、排尿障害および性機能障害ともに明らかに少なくなっています。これらの手術をどのような場合に施行するかは、がんの性質や進行の程度などの正確な評価のもとで決定します。
今後の自分の身体や生活に関わることですから、専門医と十分な相談を行ってください。

自律神経温存手術における術後機能障害