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【情報誌】便秘にも様々なタイプが。なかなか治りにくい「直腸性便秘」とは(2015年3月21日 リビング熊本掲載)

2015-03-21
メディア掲載情報 病院からのお知らせ

<2015年3月21日 リビング熊本掲載記事>

力んでも便が出ない、便が漏れる、残便感がある。相談しにくいお尻の悩みは肛門の働きに問題があることも
 便秘にも様々なタイプが。なかなか治りにくい「直腸性便秘」とは

  3日以上排便がない、毎日排便があっても残便感がある…。老若男女問わず多くの人が悩みを抱える“便秘”。昨年「重症便秘外来」を新設した、高野病院の高野正太先生に、なかなか治りにくい「直腸性便秘」について詳しくお話を伺いました。

  女性が気をつけたい「直腸瘤」。直腸内に袋ができ、便が入り込んでしまいます

 便秘というと、便を直腸・肛門まで送り出す蠕動(ぜんどう)運動などの大腸機能の低下や異常が原因の「結腸性便秘」があげられます。  しかしそのほかに、直腸の不具合が原因で起こる「直腸性便秘」があり、多くの人が悩みを抱えています。
 大腸(結腸)は正常な働きをしているので、直腸にどんどん便が溜まっていき、便意はあるものの出せない。便秘薬や食物繊維を摂っても解消されないケースも多いといいます。
 「直腸性便秘は大きく分けて2つに分類され、代表的なものが直腸瘤(りゅう)です。直腸膣壁弛緩症(ちつへきしかんしょう)やレクトシールとも呼ばれ、直腸と膣の間の壁が薄くなり、直腸が膣の方へ袋状に突き出てくるものです【図参照】。便を出そうと力んでも、この袋に便が溜まり外に出にくくなります。自分の指で膣の後方の壁を押して便を出すという、特殊な排便方法をされている方もいらっしゃいます」と高野先生。
 長い間便秘の女性は、便が硬くなり、排便時に力むほど直腸内に圧力がかかって、直腸から膣側に袋が出来てしまうことに。長期間便秘に悩んでいる女性こそ、注意が必要です。
 直腸性便秘が疑われる場合は「排便造影検査=ディフェコグラフィー」や「直腸肛門機能検査」を行い、排便時の直腸や肛門の動きを確認し、詳しい診断を行います。
 軽度なら、下剤で便を柔らかくし肛門から出やすくする方法をとりますが、多くの場合は手術が選択されます。
 「膣の後ろ側を切開して、直腸の壁を縫い閉じる『膣壁縫縮術』という方法をとります。1週間~10日ほどの入院が必要ですが、大半の患者さんに改善が見られます」。


骨盤底筋の緊張により肛門がうまく働かない場合はトレーニングによって改善が期待できます


 直腸性便秘の二つ目が「奇異性括約筋運動」と呼ばれ、簡単にいうと肛門の筋肉の緊張による便秘です。
 「通常なら排便時は、お腹には力が入りますが、骨盤の下にある骨盤底筋は緩み、一緒に肛門も緩んで便が出ます。しかし、うまく働かない状態(排便協調運動障害)のため、便秘を引き起こし ます。陰部神経伝導検査という方法で、肛門の働きをチェックします」。
 症状を改善するには、バルーンを使った訓練が有効といいます。「5㎝ほどの風船を肛門の中に入れて便のように息んで出す訓練をしていただきます。同時に、腹圧のかけ方や排便姿勢などの指 導も行います」。
 「直腸性便秘」をはじめとして、慢性化・重症化している便秘には、約40もの異なる原因があるといわれています。 強い残便感がある、食事や薬で改善されない場合は、専門医のもとで詳しく検査し、治療に取り組むことをお勧めします。

 

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