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メディア掲載情報

【新聞】肛門痛、便漏れなどの複合症状 神経障害原因か(熊本日日新聞 2015.7.3付)

2015-07-03
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当院で治療・研究を行っております「神経因性骨盤臓器症候群(NIS)」関連の取材を受け新聞に掲載されましたのでご紹介します。

 

「神経因性骨盤臓器症候群(NIS)」の治療や研究を続けている高野正博医師。4月にはNISなどの原因や治療法を紹介する本も出版した=熊本市中央区

 

肛門痛、便漏れなどの複合症状 神経障害原因か

高野正博医師(高野病院会長)に聞く

 

  「神経因性骨盤臓器症候群(NIS)」の治療や研究を続けている高野正博医師。4月にはNISなどの原因や治療法を紹介する本も出版した=熊本市中央区  肛門の慢性的な痛みや便の漏れ、腰の痛みなどの症状が複合的に発生する原因として、おしりに近い神経の障害が考えられるという。高野病院(熊本市中央区帯山)はこうした疾患を「神経因性骨盤臓器症候群(NIS)」と名付け、治療に取り組んでいる。同病院の高野正博会長(80)に同症候群の特徴や治療法などを聞いた。

 高野会長は大腸や肛門の機能障害の治療・研究に長年力を入れており、2010年にはNISについて分析した論文を発表。今年4月にはNISのメカニズムや治療法を紹介する本も出版した。

 高野会長によると、NISの主な症状は、(1)肛門の痛み(2)便やおならが漏れる(3)便がすっきり出にくい(4)腹痛やおなかの張り(5)腰の痛み。患者の多くは、これらの症状が複数あるという。

 原因と考えられるのが、肛門の働きに影響する「仙骨神経」と、直腸の働きと関係のある「骨盤内臓神経」の障害だ。

 二つの神経は尾骨の上の仙骨から出ている。高野会長は「神経障害が起きる原因は、腰の椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄[きょうさく]症など。高齢の患者が多いが、若い人でもヘルニアなどの影響でNISになることがある」と説明する。

 同病院で診断する際は腰のレントゲンのほか、患者の症状に応じて肛門の締まり具合や便の出方などを調べる精密検査を実施する。

 治療は患者の状態に応じて、リハビリで腰や神経、肛門括約筋、腸の状態を改善させるほか、痛みを取るための神経ブロック注射、薬物療法などを組み合わせる。高野会長は「治療を受けた人の7~8割は症状が消失または軽減している。神経の障害が軽ければ治りやすい」と話す。

 同病院でNISと診断された患者は04年以降の累計で約4700人。8割は県内からの受診だが、北海道や関東など全国各地から受診している。  高野会長は「まだ診断を受けていない人が日本中にいると思う。県内の患者数から推定すると、全国の患者数は約24万人」と話す。

 だが、排便の障害や腰の痛みなどの複数の症状に対して、総合的に診断・治療できる医療機関が全国にほとんどないのが実情という。  高野会長は「遠隔地から受診した場合などは入院して治療するが、退院後も継続的なリハビリが必要」と指摘。「この病気のことを理解してくれる医師も増えてきた。NISの治療を引き受ける中核的な病院を増やす必要がある」と話している。(田中祥三)

(2015年7月3日付け熊日日新聞朝刊掲載記事転載)

 

■NISについての詳細は疾患情報をご覧ください。  →(神経因性骨盤臓器症候群のご紹介)

■NISと同じ症状につきましては大腸・肛門リハビリテーション科(大腸肛門機能科)にご相談ください。  →(大腸肛門機能科のご紹介)


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