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疾患情報

消化器外科

大腸がん

括約筋温存手術(人工肛門を造らない直腸がんの手術)

 

●専門医紹介

理事長・院長  山田 一隆  「がんの完治が一番ですが、手術後の生活の質を考えると、管理や精神的な負担になる人工肛門を造らなくて済むような治療を実施しています。専門病院としてこうした新しい治療法を広めていき、患者さんの治療法の選択肢を広げたいと考えています。」

 

■資格および役職■
日本外科学会指導医・専門医・認定医/日本消化器外科学会指導医・専門医・認定医/日本大腸肛門病学会指導医・専門医/日本がん治療認定医機構暫定教育医/日本がん治療認定指導医/日本消化管学会胃腸科指導医・専門医/消化器がん外科治療認定医
⇒学会発表情報  ⇒論文発表情報

 

最新の手術として、人工肛門を造らなくても充分に直腸がんを治癒できる手術のなかでも、究極 の肛門温存手術と言われる「括約筋間直腸切除術」※を行っています。さらに、術後の排尿障害や 性機能障害を防止できる「自律神経温存手術」を行っています。一方、非常に早期で発見された大腸がんに対しては、手術を行わずに内視鏡で切除する「内視鏡的粘膜切除法」を行います。また、 手術が必要な場合でも、多くの大腸がんでは腹腔鏡を用いた「鏡視下手術」を行います。

 大腸がんは検診や診断技術の発達によって比較的早期に発見されるようになりましたが、がんが進んだ状態で発見される場合も少なくありません。しかも、がんの発生が肛門に近い直腸がんは従来は多くの場合、人工肛門をつくる必要があり、術後の排尿障害や男性機能障害が出現することこともありました。しかし、医療技術の進歩によって人工肛門を造らなくても充分に直腸がんを治癒できる新しい「肛門温存手術」、術後の排尿障害や性機能障害を最小限にする「自律神経温存手術」が行えるようになってきました。
当院では従来ほとんどが人工肛門になっていた肛門近くの直腸がんも肛門括約筋温存手術によって 人工肛門をつくらずに済む手術を他に先駆けて行っております。当院は大腸肛門病を専門に治療を行 っており、肛門疾患で受診される診察の結果直腸がんが発見されることも少なくありません。このため全国でも大腸がん手術のうち直腸がんの手術を多く行っております。

 
 
「括約筋温存手術」とは?(図参照)

 直腸がんの手術方法は、がんの部位、大きさ、進行度によって異なります。
直腸は上部直腸、中部直腸、下部直腸および肛門管に分けられます。上部・中部直腸がんのほとんどの症例と、下部直腸がんの一部の症例に対しては、人工肛門(ストーマ)を造らない肛門括約筋温存手術が行われていますが、下部直腸がんと肛門管がんのほとんどの症例に対しては、ストーマを造る直腸切断術が行われるのが一般的です。実際に、上部・中部直腸がんに対しては、腹膜反転部より上(口側)で直腸を切除して腸とつなぎ合わせる「高位前方切除術」や、腹膜反転部より下(肛門側)で切除し腸とつなぎ合わせる「低位前方切除術」が行われます。また、一部の下部直腸がんに対しては、肛門挙筋が直腸と合流する部位(下部直腸の下端)で直腸を切除して腸とつなぎ合わせる「超低位前方切除術」が行われます。これらが従来の肛門括約筋温存手術と云えます。
 新たな肛門括約筋温存手術として、「内肛門括約筋合併切除術」があげられます。この手術方法は、下部直腸がんや肛門管がんに対してストーマを造らずに癌を根本的に治癒する根治手術となります。図に示すように、内肛門括約筋を切除するために、残された外肛門括約筋と肛門挙筋のみで括約筋機能をはたすこととなります。なお、この手術方法は高野病院をはじめとして一部の専門的な施設でしか行われていません。

 
当院では、大腸がん手術件数143件(うち直腸がん75件)のうち
下部直腸がん35件中24件に肛門温存手術を行っております(2015年)。
 

 

 

 

術後の生活を考え自律神経を温存
 

 直腸がんの手術では従来、自律神経を切り離した手術が行われていましたが、がんの性質や進行の程度に応じて、各種の自律神経を温存する手術方法(全温存法、片側温存法、部分温存法)を行っています。従来の自律神経を切り離した手術方法と比較すると、排尿障害および性機能障害ともに明らかに少なくなっています。これらの手術をどうのような場合に施行するかは、がんの性質や進行の程度などの正確な評価のもとで決定します。今後の自分の身体や生活に関わることですから、専門医と十分な相談を行ってください。

 


※2013年発行「大腸癌取扱い規約(第8版)」に則り、これまで「内肛門括約筋切除術」と表記されていました術式を「括約筋間直腸切除術」に変更しております。なお、過去の新聞・雑誌の記事は変更いたしませんのでご了承ください。