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疾患情報

肛門科

痔・肛門疾患

直腸脱

 

直腸脱

肛門から直腸壁全層が脱出する病気です。高齢の女性に多く、ひどくなると10cm以上脱出することもあります。


【成因】
直腸を支える骨盤底群および支持組織と肛門括約筋(肛門をしめる筋肉)が加齢や妊娠・出産、慢性的な腹圧の上昇、などで弱くなることや、直腸〜大腸の重積など様々な原因が重なり直腸が本来あるべき位置から下がって発生します。

【症状】
排便時の脱出や違和感。粘液による下着の汚れや血液の付着。便秘や残便感、肛門の閉塞感などを認めます。括約不全を伴う患者さんでは便失禁も認められます。

【診断】
実際に脱出しているところを確認して診断します。脱出していない場合は、トイレで力んでいただき脱出を確認します。

【検査】
排便造影検査(デフェコグラフィー)、骨盤部3D-CT検査、直腸肛門機能検査、肛門エコー検査、大腸内視鏡検査などを行い病態を精査します。
他に麻酔をかけるのに必要な検察として血液検査、尿検査、心電図、心臓超音波検査、呼吸機能検査等を行います。

【治療】
直腸脱の根治には手術が必要になります。
手術方法として大きく分けて次の2つの方法があります。
 
 

経腹的手術

経会陰的手術

内容 ・お腹の方から直腸をつり上げて固定する方法。 ・肛門側から脱出した直腸を縫い縮めたり、肛門を脱出しない程度に狭小化する方法。
利点 ・再発が少ない(数%) ・腰椎麻酔で可能
・体に対する侵襲が少ない。
欠点 ・全身麻酔が必要。
・体に対する侵襲が大きい(※腹腔鏡下手術で行うことで侵襲を小さくすることができます)。
・開腹歴があると腹腔鏡でできないことがある。
・ 再発がやや多い(10-30%)腹腔内に原因(小腸瘤など)があると治せない。
 脱出長が長いとできない(術前脱出長6cm迄)


【当院での治療方針】

 


【各手術術式について】

1. 経腹的手術:直腸つり上げ固定術




【腹腔鏡下手術】








2. 経会陰的手術:当院で行っている経会陰的手術
1. Delorme術:脱出直腸を縫い縮める方法、欧米で多い
2. Gant-三輪術:脱出直腸を縫い縮める方法、日本で多い
3. ALTA多点法:脱出直腸壁に注射を行い固めて脱出しずらくする方法。
4. Thiersch術:肛門周囲に糸をかけて、肛門を縫い縮める方法。



【Delorme術】・・・当院で経肛門手術の第一選択としている術式








【Gant-三輪術】・・・国内でもっと行われている術式




【ALTA多点法】・・・薬で直腸壁を硬化させ脱出しづらくする






【Thiersch術】・・・括約不全(肛門の締まりが悪い)を伴う患者さんに付加