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疾患情報

心療内科(ストレス内科)

過敏性腸症候群(IBS)

過敏性腸症候群(IBS)の病態
過敏性腸症候群
(Irritable Bowel Syndrome、略してIBS)は、以前は大腸過敏症と呼ばれ、大腸の過敏状態によっておきる疾患とされていました。しかし、病気のことを調べるうちに、大腸だけでなく小腸も含めた消化管全体の疾患であることがわかり、過敏性腸症候群と呼ばれるようになりました。
過敏性腸症候群は、今までいろいろな定義がされていますが、現在は「腹痛や腹部不快感があり、これが6ヶ月以上前からあり、最近3ヶ月はその腹痛や腹部不快感が排便によって軽くなったり、腹部の症状の始まりが排便の回数や便の硬さの変化から現れる」などと定義されています。
また、過敏性腸症候群はその症状によって、便秘型と下痢型、この二つを合せた便秘と下痢を繰り返す交替型の3つタイプに分けられます。以前は、この3つの型に腹部膨満感や排ガスが多いガス型を加えた、4つの病型が用いられていました。では具体的にはどのような症状があるのでしょうか。

●腹部症状
・腹痛、キリキリとした痛み、鈍い痛み、差し込むような痛みなど様々な表現をされますが、お腹の左下腹や上腹部などの痛みを訴える人が多いようです。
痛みを感じる時の多くは、食後であったり、早朝であったり、排便の前だったりすることが多いようですが、排便をすることによって痛みが軽くなります。
・腹部不快感 お腹がすっきりしない状態でお腹が張る、空腹でもないのにお腹がグルグル鳴るすっきりしないなどの症状です。

●排便状態
・便秘や下痢、または便秘と下痢を繰り返す
・排便後すっきりせず、何回もトイレに行く
・実際に排便はないが、何回もトイレに行きたくなる など

●その他の症状
不眠、肩こり、頭痛、食欲不振、手足の冷え、倦怠感など全身の症状が現れます。
また、不安感や気分の落ち込み、イライラ感などの心理的な症状を伴います。

では、以上のような症状はどうして起こるのでしょうか。
一つには、腸は自律神経によって動かされています。心臓などと同じで、自分の意思で動きを止めたり動かしたりできず自動的に動いていますが、生活が不規則であったり、心身の疲労がたまっていたり、ストレスがあったりすると、腸の動きのリズムが乱れ、腹部や排便の状態に影響を与えます。

過敏性腸症候群の方が一般的にどの位おられるかというと、当院の調査では16.5%、つまり4~5人に1人の割合で過敏性腸症候群の方がおられることになります。諸外国の調査や国内の調査でも同じような結果で14~22%とされており、特別な病気ではなく多くの人が経験しているということを表しています。
尚、過敏性腸症候群の症状を持ちながらも病院は受診せず放置している方が2人に1人で、病院を受診される方は6~7人に1人でした。しかし、過敏性腸症候群の似たような症状で、腸に炎症があったりすることもありますので、まずは医療機関を受診して、正しい診断を受けることが大切です。


過敏性腸症候群についてもう少し詳しく見てみます。


1.大腸の運動異常
 腹痛や排便の異常は大腸が痙攣したり、運動が亢進(速く動きすぎる)や停滞(動きが鈍る)が関係しています。大腸の機能を検査する経口大腸造影検査というものがありますが、この検査の結果をまとめますと便秘型では腸のハウストラ(くびれ)が大きく、ゆっくりとした動きです。逆に、下痢型は動きが速く、便秘下痢交替型はその双方の特徴を備えています。
 近年は、大腸の動きだけでなく小腸の運動機能にも問題があることの報告もあり、研究が進められています。 


2.腸の過敏性
 例えば、冷たいものを飲むと、お腹がグルグルとなる人がいます。これは冷たいものや刺激の強いもの(香辛料がよく効いたもの)が腸に刺激を与えて腸の運動が活発になるためです。過敏性腸症候群の患者さんはこの反応が強くでるため下痢や腹痛になったりします。逆に腸は強く収縮しすぎて便を送り出すような運動にならず便秘になる人もいます。また、腸が刺激されると疼痛を感じることがありますが、その痛みを普通の人より強く感じて強い腹痛になる傾向があります。
 このように刺激に対して過敏に腸が反応することが症状につながります。しかし、多くの人が同様の状態になるのではなく、そこには個人差があり症状の程度に差が現れます。


3.ストレスとの関係
 当院の調査で、ストレスの度合いが高い人ほど過敏性腸症候群の症状が強く現れるという結果があります。
また、病院を受診した過敏性腸症候群の人は不安や緊張感、気分の落ち込みなど心理的な症状を持っている人が多いという調査結果もあります。これは、過敏性腸症候群とストレスが密接に関係していることが推測されます。
 では、どんなことがストレスになるのでしょうか。
 欧米の研究で、ストレスの内容をランク付けしたものがありますが、これによると配偶者の死が最も高くなっています。生きている中で起きるいろいろな出来事がストレスになりえます。一見、結婚や就職、出産、進学、昇進などおめでたいと思える出来事も、これまでの生活パターンとの変化をもたらし、心もその影響を受けることによるものと思われます。
 また、ストレスは心理的なストレスだけでなく、暑さや寒さ、騒音、疲労などもその原因となりえます。
 時々「私はストレスはありません」、と言われる方がおられますが、ストレスは人生の刺激剤でもあり多少あった方が心の健康には役に立つようです。
 一方、過敏性腸症候群の症状自体がストレスになっている方もいらっしゃいます。外出しなければならないがトイレがないと不安、お腹が鳴ったらどうしようか心配される場合です。このような場合は、ますます腸が緊張し症状が出やすくなるという悪循環をもたらしていることもあります。このような場合は、心療内科など専門医に相談されることをお勧めします。

 

病気を正しく知ることが治療の第一歩です。

病気のことを正しく理解して、自分なりのコントロール法をみつけましょう。