疾患情報
心療内科(ストレス内科)
過敏性腸症候群(IBS)
過敏性腸症候群(IBS)の病態
過敏性腸症候群についてもう少し詳しく見てみます。 1.大腸の運動異常 腹痛や排便の異常は大腸が痙攣したり、運動が亢進(速く動きすぎる)や停滞(動きが鈍る)が関係しています。大腸の機能を検査する経口大腸造影検査というものがありますが、この検査の結果をまとめますと便秘型では腸のハウストラ(くびれ)が大きく、ゆっくりとした動きです。逆に、下痢型は動きが速く、便秘下痢交替型はその双方の特徴を備えています。 近年は、大腸の動きだけでなく小腸の運動機能にも問題があることの報告もあり、研究が進められています。 2.腸の過敏性 例えば、冷たいものを飲むと、お腹がグルグルとなる人がいます。これは冷たいものや刺激の強いもの(香辛料がよく効いたもの)が腸に刺激を与えて腸の運動が活発になるためです。過敏性腸症候群の患者さんはこの反応が強くでるため下痢や腹痛になったりします。逆に腸は強く収縮しすぎて便を送り出すような運動にならず便秘になる人もいます。また、腸が刺激されると疼痛を感じることがありますが、その痛みを普通の人より強く感じて強い腹痛になる傾向があります。 このように刺激に対して過敏に腸が反応することが症状につながります。しかし、多くの人が同様の状態になるのではなく、そこには個人差があり症状の程度に差が現れます。 3.ストレスとの関係 当院の調査で、ストレスの度合いが高い人ほど過敏性腸症候群の症状が強く現れるという結果があります。 また、病院を受診した過敏性腸症候群の人は不安や緊張感、気分の落ち込みなど心理的な症状を持っている人が多いという調査結果もあります。これは、過敏性腸症候群とストレスが密接に関係していることが推測されます。 では、どんなことがストレスになるのでしょうか。 欧米の研究で、ストレスの内容をランク付けしたものがありますが、これによると配偶者の死が最も高くなっています。生きている中で起きるいろいろな出来事がストレスになりえます。一見、結婚や就職、出産、進学、昇進などおめでたいと思える出来事も、これまでの生活パターンとの変化をもたらし、心もその影響を受けることによるものと思われます。 また、ストレスは心理的なストレスだけでなく、暑さや寒さ、騒音、疲労などもその原因となりえます。 時々「私はストレスはありません」、と言われる方がおられますが、ストレスは人生の刺激剤でもあり多少あった方が心の健康には役に立つようです。 一方、過敏性腸症候群の症状自体がストレスになっている方もいらっしゃいます。外出しなければならないがトイレがないと不安、お腹が鳴ったらどうしようか心配される場合です。このような場合は、ますます腸が緊張し症状が出やすくなるという悪循環をもたらしていることもあります。このような場合は、心療内科など専門医に相談されることをお勧めします。
病気を正しく知ることが治療の第一歩です。 病気のことを正しく理解して、自分なりのコントロール法をみつけましょう。
(電話・メール・LINEでご相談できます)
|