MENU

閉じる

疾患情報

大腸肛門機能科

排便障害(便秘・便もれ)

便もれの治療-仙骨神経刺激療法(SNM)

便失禁(便漏れ)に対する新しい治療
仙骨神経刺激療法 Sacral Neuromoduration (SNM)  

 




 自分の意思に反して便が漏れる、いつの間にか下着が汚れている、気になって外出も控えてしまう、などお困りではありませんか?
上記のような状態を「便失禁」と言います。

 

 便失禁に対しては薬物療法から手術療法まで、その状態に応じてたくさんの治療法がありますが、なかなか治らない方もいます。

 欧米では仙骨神経を持続的に刺激して便失禁を軽減する「仙骨神経刺激療法」という治療法が以前から行われており、日本でも今年2014年の4月から保険適応となりました。講習会を受けた医師が所属し、ある一定の基準を満たした医療施設で行われます。

仙骨神経とは?
 仙骨とは背骨の一番下の腰骨、つまり腰椎の下につながっている逆三角形の骨。
骨盤の一部を形成している骨です。
仙骨にあいた穴(仙骨孔)から出ている神経が仙骨神経です。
その神経の一部が肛門や膀胱、直腸の方に伸びていくのです。
そして、直腸や肛門の感覚や運動に関係しています。


どのような治療法ですか?
 手術療法となります。
 手術は2段階に分けられ、第1段階で刺激電極を植え込みます。その後2週間の評価期間を経て効果を認めた患者さんだけが、刺激装置を植え込む第2段階に進みます。

第1段階:仙骨神経の近くに刺激電極となる細いリードを刺します。全身麻酔で行います。

評価期間:体外式の刺激装置を用いて電極から刺激電流を流します。その間、排便日誌をつけて、便失禁の回数や程度を記録します。排便回数が半分以上減少した場合「成功」とします。注意してもらいたいのは便失禁が完全になくなることを「成功」と呼ぶのではないことです。
目指すのは「便失禁の減少」つまり便失禁によって低下している生活の質(QOL)を向上させることです。

第2段階:心臓のペースメーカーみたいな装置を腰臀部の皮膚の下に埋め込みます。局所麻酔または全身麻酔で行います。


手術後は?
 刺激装置から弱い電流を出し、神経を刺激し続けます。定期的に通院して効果を評価し刺激の強さを調節します。
刺激装置のバッテリーが切れたら入れ替えをします。入院のうえ、第2段階のような手術をします。入院は2-3日程度となります。現時点ではバッテリーは3―5年程度で切れるのでその度に入れ替えが必要になります。
 肛門や直腸を支配している仙骨神経を刺激することによって、直腸肛門の感覚が向上したり、肛門をしめる圧が上がります。しかし、実のところなぜ便失禁が改善するのは明確には分かっていません。

副作用は?
 植え込んだ刺激装置の感染や、同部の痛みの報告があります。場合によっては刺激装置を入れ替えたり、抜去して治療を中止する事もあります。

注意する事は?
 全身用RFコイル、受信専用頭部コイルおよび胸部まで及ぶ頭部用RFコイルを用いたMRI検査や、ジアテルミー治療(短波や超短波といった電磁波を使った治療)は禁忌です。
刺激装置挿入部位付近のCTやMRIによる検査が不十分になる可能性があります。
詳しい注意事項はガイドブックを参照してください。

費用は?
 通常の国民健康保険および高額療養費制度の対象となります。
総費用は入院期間などでも変わるので医療機関にご相談ください。   


※便失禁全般に関する詳細は便失禁疾患啓発サイト「おしりの健康.jp」(http://oshiri-kenko.jp/をご参照ください。
 
*図3点日本メドトロニック社提供、
 
  1点高野病院作成。

                2014/05/07 文責:大腸肛門機能科(大腸・肛門リハビリテーション科) 高野正太