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疾患情報

消化器内科

大腸内視鏡による治療

コールドポリペクトミー(Cold polypectomy)とは

通常のポリープ切除術は、スネアという特殊なワイヤーでポリープの根元を絞めて高周波電流を流して切除します(図1)。

コールドポリペクトミーとは、高周波電流のような熱を加えずに切除する方法をいいます(図2)。いわゆる“生切り”です。
コールドポリペクトミーの適応は、大きさ10mm未満の小さな腫瘍性ポリープです。10mm以上のポリープは、遺残や出血などの危険性が高くなるため、高周波電流を流して切除します。10mm未満であっても、形態・性質・部位等でコールドポリペクトミーの適応にならないものもあります。

 

コールドポリペクトミーには2つの方法があります

 専用の鉗子でポリープをつまんで摘除する方法と、スネアでポリープの根元を絞めて摘除する方法があります。原則は、4mm以下の小さいポリープは鉗子(カンシ)でつまみ、5mm以上のポリープはスネアを使用します(図3)。

なぜ、コールドポリペクトミーは安全なの?

 生切りなので、摘除直後はわずかに出血します。しかし、出血は数分で止まり、後出血はまずみられません。ポリープ(腺腫)は「粘膜」に限局した病変です。粘膜のレベルの「なま傷」は、大きくても治癒が早く重大なトラブルを起こしません。

高周波電流を使用するポリープ切除術は、電流を流しながら切除するため、切除部位は熱傷になります。この熱傷は、「粘膜」の下に位置する「粘膜下層」まで及びます。血管は主にこの粘膜下層にあります。熱傷により粘膜下層の血管が破たんすることにより、後出血をきたします。

 コールドポリペクトミーは、粘膜下層は傷つけずに粘膜の病変のみを摘除する方法なので、出血や穿孔の危険性は低く安全な方法といわれています。しかし、皆無ではないので、摘除部位をクリップで縫縮することもあります。

 

コールドポリペクトミー後の注意事項

 高周波電流を使用するポリープ切除術は、1週間の食事制限・運動制限・活動制限が必要です。コールドポリペクトミーの場合は、先に述べたように安全な治療法なので、注意していただくのは3日間です。
 ポリープ摘除後3日間は、生活の面では、運動・遠方への外出や出張・長時間の運転・長湯や暑すぎる風呂・排便時の強い努責を控えていただき、食事は香辛料・アルコールを避けていただきます。

 

コールドポリペクトミーの利点

 高周波電流を使用するポリープ切除術の場合は最低でも2泊3日の入院が必要ですが、コールドポリペクトミーだけの場合は、入院の必要はなく、外来での治療が可能です。ただし、遠方の方や、ご高齢の方は日帰り入院または1泊入院をお勧めします。

 また、コールドポリペクトミーもポリープ切除術と同様で生命保険等の申請も可能です。

 コールドポリペクトミーのように、小さいうちに腫瘍性ポリープを摘除することにより、大腸がん発生の予防につながります。早めの治療を心がけましょう。