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疾患情報

消化器内科

炎症性腸疾患(IBD)-潰瘍性大腸炎、クローン病

薬物療法 - クローン病に対するレミケード療法
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)情報

クローン病は、小腸、大腸を中心に原因不明の炎症が持続し、腸管の潰瘍から始まり、狭窄、膿瘍、瘻孔をきたす疾患です。したがって治療上で持続する腸管の炎症を効果的に制御することがたいへん重要です。
炎症は生体内のさまざまな物質や細胞の相互作用によって起きていることがわかってきました。炎症に関係する物質(サイトカインといいます)には数十種類があり、その中でTNF-αは中心的な役割を担うことが解明されてきました。
クローン病の患者さんの場合、炎症を起している腸管でTNF-αが大量に産生されています。大量のTNF-αはさらに炎症を惹き起こしていきます。炎症の悪循環を断ち切るため、TNF-αの作用を中和する薬(抗TNF-α抗体)であるレミケードがクローン病の治療薬として開発されました(下図)。平成15年6月から保険適応となりました。

 

(上図:田辺製薬の資材より引用)

 

1.難治で重症から中等症の活動期クローン病に対して
レミケードが一回点滴投与され、2週間後、患者さんの65%で効果があり、症状が軽くなり、クローン病活動性指数CDAI(図2)が150以下になりました。また投与された1/3の患者さんでは4週間後も寛解の状態でした。体重1kgあたり5mgから20mgまで投与量を変えても効果は変わりなく、小腸型、大腸型、小腸大腸型による明らかな差はありませんでした。日本でも同様で投与4週間後に76%で症状の改善がみられ、内視鏡やレントゲンの評価では改善率が63.6%でした。

図2.CDAIの算出法


A. 過去1週間の軟便または下痢の回数  ×2 = a

B. 過去1週間の腹痛  
    0=なし  1=軽度
   2=中等度 3=高度       ×5 = b

C. 過去1週間の主観的な一般状態
   0=良好  1=軽度不良
   2=不良  3=重症
   4=劇症             ×7 = c

D. 患者が現在持っている下記項目の数 ×20 = d
   1)関節炎・関節痛
   2)虹彩炎・ぶどう膜炎
   3)結節性紅斑・壊死性膿皮症・アフタ様口内炎
   4)裂肛・痔瘻または肛門周囲膿瘍
   5)その他の瘻孔
   6)過去1週間100F(37.8C以上の発熱)

E. 下痢に対してロモチルまたはオピアトの服用
   0=なし  1=あり     ×30 = e

F. 腹部腫瘤
   
0=なし  1=疑い   5=確実にあり     ×10 = f

G. ヘマトクリット(Ht) 男(47-Ht)    ×6 = g
               女(42-Ht)

H. 体重:標準体重  100(1-体重/基本体重)   = h


CDAI =
 

CDAI が、 150以下:非活動期 、450以上:非常に重症


(Best,W.R.,et al.;Development of a Crohnfs disease activity index. Gastroenterology,70:439-444,1976より)

2.瘻孔を持つクローン病に対して
3ヶ月以上続く腸管皮膚瘻(腸と皮膚の間にトンネル)や痔瘻(肛門の周囲に膿のトンネル)を持つクローン病の患者さんで0週、2週目、6週目に体重1kgあたり5mgないし10mgが投与され、68%で瘻孔の数が約1/2に減少し、46%で瘻孔がすべて消失しました。

次に副作用ですが、投与直後には、発熱・悪寒5%、痒み・じんましん1%、胸部痛・高血圧・低血圧・呼吸困難1%などがみられました。それ以後に起きる副作用には、感染の3%に重症感染症、自己抗体が24%に出現し、一部でループス様症候群がありました。抗TNF-α抗体との因果関係は明らかではありませんが、350例以上投与患者中、数例のリンパ腫が報告されています。

現在わが国では4000例以上の患者さんにレミケードが投与されています。高野病院では、30例(活動期19例、難治性痔瘻11例)の患者さんに投与しています。レミケードの効果は8週以後には次第にうすれることが報告されています。そこで寛解状態を長く持続させるため、イムランなど免疫調整剤の併用療法の有効性が話題になっています。

また2~3ヶ月ごとに繰り返し投与していくのが有効なのか検討が行われています。レミケードの投与にあたっては、投与前に結核の感染がないかツベルクリン反応や胸部レントゲンなどで検査する必要があります。
このように、レミケードはクローン病に対する根治療法ではありませんが、これまでの治療法では効果の乏しかった患者さんに、十分な効果や入院期間短縮が期待されます。
 

3.トピックス
クローン病に対するレミケードの維持療法が平成19年11月に効能追加になりました。その概要は以下の通りです。

※次のいずれかの状態を示すクローン病の治療及び維持療法
(既存治療で効果不十分な場合に限る)
 1.中等度から重度の活動期にある患者
 2.外瘻を有する患者

通常、体重1kgあたり5mgを1日の投与量として点滴静注する。
初日投与後、2週、6週に投与し以後8週間の間隔で投与を行うこと。
今後当院でも活動期、外瘻を問わずレミケード療法導入時には3回投与(0,2,6週)を行い、その後計画的継続を原則として実施していく予定です。