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疾患情報

消化器内科

炎症性腸疾患(IBD)-潰瘍性大腸炎、クローン病

IBDの薬物療法
IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)情報

IBDの治療薬Q&A
高野病院におけるレミケードの使用状況
高野病院採用の経腸栄養剤
高野病院における在宅経腸栄養法実施状況


IBDの治療薬Q&A

おくすりについてよく質問いただく内容をQ&A形式でご紹介します。
(※商品名は当院で使用している薬の名前を挙げています。ご了承ください。)

Q1: 潰瘍性大腸炎ではどんな薬をどのように使うのですか?ステロイド薬を使うことが多いと聞き、副作用が心配です。
Q2: クローン病ではどんな薬をどのように使うのですか。薬の使い方や副作用など、知っておくべきことはありますか。
Q3: 副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)を使うことが多いと聞きますが、副作用について知っておくことがありますか?


Q1: 潰瘍性大腸炎ではどんな薬をどのように使うのですか?ステロイド薬を使うことが多いと聞き、副作用が心配です。

A1:潰瘍性大腸炎の治療は、病変が大腸に限局しているため薬物療法が主となります。 (厚生労働省特定疾患難治性炎症性腸管障害調査研究班下山班による治療指針の図参照) 病状の重症度や炎症の部位に合わせて、薬物の種類や使用法、使用量が詳細に選択されます。 寛解に導入した後も、再燃を予防するためサラゾピリンやペンタサを継続して使用するなどの維持療法が行われます。薬物療法に主に使用される薬としては以下のようなものがあります。

・ サラゾスルファピリジン (SASP) (商品名:サラゾピリン)
・ 5-アミノサリチル酸 (5-ASA)  (商品名:ペンタサ)

サラゾピリン サラゾピリン坐剤 ペンタサ

主に軽症、中等症の寛解導入時、また寛解導入後の維持薬として用いられます。服用したサラゾピリンは大腸の腸内細菌によって、スルファピリジン(SP)と5-アミノサリチル酸(5-ASA)に分解されます。サラゾピリンの薬の効果は主に5-ASAの抗炎症作用によるものです。局所的に直腸に作用させたい場合はサラゾピリン坐剤が使用されることもあります。サラゾピリンによる副作用の原因と考えられているSPを除いた5-ASA製剤(商品名ペンタサなど)は潰瘍性大腸炎の治療にも使用することはありますが、小腸病変に有用なので主に小腸に病変のあるクローン病の患者さんに使用されます。ペンタサ注腸は2003. 6月に発売されましたが、これは有効成分である5-ASAを好発部位である直腸、S状結腸や下行結腸に充分到達させる製剤で、現在は潰瘍性大腸炎のみに保険適応があります。サラゾピリンやペンタサと併用して用いられることがあります。

 

副腎皮質ステロイド
(主なもの プレドニゾロン、ベタメタゾン)

プレドニゾロン(商品名:プレドニン(内服)、プレドニン注(注射)、プレドネマ(注腸))
・ ベタメタゾン(商品名:リンデロン(坐剤)、ステロネマ(注腸))

プレドニン(内服) プレドネマ リンデロン
(坐剤1mg)
リンデロン
(坐剤0.5mg)
ステロネマ

炎症を抑える作用や免疫反応を抑える作用などがあり、病変の範囲と重症度によって投与方法と量を使い分けます。使用方法としては、局所(坐剤・注腸)、経口、経静脈、経動脈の4つのルートがあります。寛解に導入するために、初期の治療から多量のステロイドを使用することもありますが、症状が落ち着けば除々に減量し、寛解時にはできるだけ中止することが望ましいと考えられています。

 

薬物療法の参考例)

軽症~中等症の活動期
サラゾピリン、ペンタサ、プレドニゾロンの内服を中心に、ステロイドの注腸(プレドニゾロン、ベタメタゾン)や坐剤(ベタメタゾン)、ペンタサ注腸を組み合わせて治療する。

重症~難治型(劇症型)
大量のプレドニゾロンの内服や静脈内注射、動脈内注入など。

寛解期
少量のプレドニゾロンを使用することもあるが、サラゾピリンやペンタサ単独で維持していくことが多い。

 
イムラン

その他の薬剤
他剤(サラゾピリン、ペンタサやステロイドなど)が無効な場合や 緩解に導入するのが困難な場合、ステロイドを中止することが困難な場合に、免疫調整剤(アザチオプリン 商品名:イムラン など)を用いることがあります。また、腸の調子を整える薬として下痢止めや整腸剤などが使われます。
イムランがステロイド依存性の潰瘍性大腸炎への保険適応が認められました。

 
Q2: クローン病ではどんな薬をどのように使うのですか。薬の使い方や副作用など、知っておくべきことはありますか。

A2:クローン病の治療は、栄養療法と薬物療法を組み合わせた内科的治療が主となります。 下痢・発熱・腹痛・貧血などの症状に合わせて薬による対症療法を行います。 腸の炎症を抑えるために使われる主な薬としては、サラゾスルファピリジン(SASP)(商品名:サラゾピリン)あるいは5-アミノサリチル酸(5-ASA)(商品名:ペンタサ)と副腎皮質ステロイドがあります。

・ サラゾスルファピリジン (SASP) (商品名:サラゾピリン)

サラゾピリン サラゾピリン坐剤

大腸で腸内細菌によって5-ASAとスルファピリジン(SP)に分解されます。分解された有効成分の5-ASAは、大腸で局所的に作用し炎症を抑えます。そのため、サラゾピリンは主に大腸型のクローン病の寛解導入、寛解導入後の維持療法、ステロイドを減量していく際に使用します。肛門部に病変がある場合は、サラゾピリン坐剤を使用する場合もあります。起こりうる主な副作用としては、頭痛、悪心・嘔吐、胃部膨満感、食欲不振、全身倦怠感、薬疹、肝障害、男性における精子形成阻害(男性不妊)などが挙げられます。副作用は服用量に関係する場合もありますので、気になる点があればすぐに相談されることが大切です。また、光線過敏症が現れることもあるので、日光に当たり過ぎたりすることは避ける必要があります。

ペンタサ

・ 5-アミノサリチル酸 (5-ASA) (商品名:ペンタサ)

5-ASAの原末はそのまま服用すると、回腸~大腸に到達する前に吸収されてしまい、薬の効果がなくなります。ペンタサは5-ASAをエチルセルロースというものでコーティングした製剤で、小腸から大腸にわたって徐々に5-ASAを放出することができるようになった製剤です。そのためクローン病の大腸型、小腸型、小腸大腸型いずれにも有効です。主な副作用としては下痢、発疹、掻痒感、嘔気・嘔吐、頭痛などが挙げられます。サラゾピリンとペンタサでは有効性に差はないといわれていますが、サラゾピリンが何らかの副作用で使用できない患者さんに対して、ペンタサであれば使用可能な場合も多く、副作用の面からみれば使いやすい製剤といえます。

・ 副腎皮質ステロイド

主にプレドニゾロン(錠剤・注射)が用いられます。小腸型や、大腸型でサラゾピリンやペンタサ単独で無効な場合は、それらと併用することもあります。直腸に病変がある場合はベタメタゾンの坐剤(商品名:リンデロン)を使用することもあります。

(副作用については別記をご参照ください⇒ Q3:ステロイドの副作用について)

 
フラジール

・ メトロニダゾール(商品名:フラジール)

サラゾピリンやペンタサ、ステロイドが無効な場合や特に分泌物を伴う瘻管など肛門部病変がある場合に使用されることがあります。 副作用としては長期服用により四肢のしびれなどがおこることがあります。



 
イムラン

・ 免疫調整剤 (アザチオプリン (商品名:イムラン)など)

サラゾピリンやペンタサ、ステロイドが無効な場合、緩解に導入するのが困難な場合、ステロイドを中止するのが困難である場合に有効なことがあります。骨髄機能抑制などの副作用が現われることがあるので定期的な血液検査が必要です。

 

・ その他の薬剤

腸の調子を整える薬としては下痢止めや整腸剤を使用します。また、小腸に病変がある場合、鉄やビタミンなどの欠乏という栄養障害などが起こることがあります。必要に応じてミネラル(鉄やカルシウムなど)やビタミンなどを補います。その他症状に応じて腹痛を抑える薬(ブスコパンなどの鎮痙剤)や瘻孔や肛囲膿瘍があるときは抗生物質を使用したりします。消化管におけるアレルギー反応を抑える目的で抗アレルギー剤を使用することもあります。

レミケード

・ インフリキシマブ(商品名:レミケード)

クローン病では炎症のある腸管でTNF-αという物質が大量に産生されることがわかってきました。このTNF-αの産生を抑える抗TNF-α抗体と呼ばれる物質が炎症を抑える1つの治療薬として開発されました。活動期の患者さんや瘻孔ある患者さんに他の治療で効果が不十分であった場合に使用されます。ただし、肺炎や結核などの重い感染症、ショック、遅発性過敏症などの副作用が現れることがあるため、治療後も定期的な診察・検査が必要となります。



 
Q3: 副腎皮質ステロイド(以下ステロイド)を使うことが多いと聞きますが、副作用について知っておくことがありますか?

A3: ステロイドは一般に「副作用が怖い」というイメージが強いようですが、元々は体内でも作られているものです。ステロイドはホルモンの1種で副腎皮質ホルモンのことをいいます。人間は外部から刺激(ストレスなど)が加わった場合、自分自身を守ったり、平常状態を保つためにステロイドは多く分泌されます。治療薬として使用するなど外部からステロイドを与え続けた場合は、外部からの刺激に対して体内でステロイドを分泌する機能が働きにくくなります。

・ 治療で用いるステロイドの副作用

ステロイドは優れた炎症を抑える作用や免疫反応を抑える作用をもつため治療に幅広く用いられます。副作用はその効果の延長上にあるものですが、ステロイドの量を減らせば症状がよくなるものがほとんどです。

@主な副作用
消化性潰瘍の悪化、糖尿病の悪化、感染抵抗力の低下、筋力の低下、ムーンフェイス(顔が丸くなる)など

@比較的軽症な副作用
にきび、体重増加、浮腫、不眠、多毛、食欲亢進、月経異常など

@離脱症候群(ステロイドをやめる時におこる症状)
急に薬をやめると体内のステロイドがなくなるので副腎の機能が働かなくなります。症状としては、食欲不振、全身倦怠感、悪心・嘔吐、発熱などが現れたり、ひどいときは血圧が急激に低下したり、ショックや意識障害を起こすこともあります。

ステロイドは、併用薬を工夫したり、減量を検討するなど副作用予防のための対策をとりながら使用する必要があります。急にステロイドを中止することはかえって危険ですので、気になる場合は必ず主治医に相談しましょう。


~当院におけるレミケードの使用状況~ (H19.4現在)

レミケードは現在クローン病の方のみに保険適応があります。

◇現在のところ
瘻孔があった方 11名
活動期の方 19名

に使用しました。



~当院採用の経腸栄養剤~

同じ炎症性腸疾患でも、潰瘍性大腸炎とクローン病とでは、治療における栄養療法の意義は異なります。潰瘍性大腸炎では薬物療法が中心であり、栄養療法は腸管の安静と栄養状態の改善を目的に行われます。一方、クローン病に関してはTPN(完全中心静脈栄養)や経腸栄養などの栄養療法が第一選択とされ、腸管の安静、栄養状態の改善に加え、下痢・腹痛などの症状の改善や病変そのものの改善が目的となります。また、寛解の維持を目的に経腸栄養法が実施されることもあります。

〔経腸栄養法とは〕

糖質、蛋白質(アミノ酸)、脂肪、電解質、ビタミンなどの栄養素をすべて含む栄養剤を経腸的に摂取することにより栄養状態を正常に保つ栄養法のことをいいます。 経腸栄養法は経口栄養法(口から摂取する方法)と経管栄養法(管を使って摂取する方法)があり、経管栄養法は鼻から胃や十二指腸あるいは空腸まで管を入れて栄養剤を摂取する方法(経鼻経管法)と胃瘻や腸瘻などから摂取する(瘻管法)があります。 

〔経腸栄養剤の種類と特徴〕

経腸栄養剤は、天然濃厚流動食(食品)と人工濃厚流動食に大別されます。また、人工濃厚流動食は下記の表に示すような性質の違いにより、半消化態栄養剤、消化態栄養剤、成分栄養剤(ED)に分類されます。 当院採用の経腸栄養剤は下記の通りです。 (ただし、当院の場合、IBDの患者様でツインラインを使用されている方は現在いらっしゃいません。)

成分栄養剤 : エレンタール
消化態栄養剤 : ツインライン
半消化態栄養剤 : ラコール、エンシュアリキッド
この中で、在宅成分栄養経管栄養法の保険適応があるのは、成分栄養剤や消化態栄養剤を使用した時のみです。

特徴 成分栄養剤(ED) 消化態栄養剤 半消化態栄養剤

当院採用薬

エレンタール ツインライン エンシュアリキッド ラコール


アルミ袋

スタンディング
パウチ





スタンディング
パウチ

剤形

粉末 (80 g) 液状 (計400 ml) 液状 (250 ml) 液状 (200ml)

エネルギー

300 kcal/包 400 kcal/1 set 250 kcal/缶 200 kcal/包

糖質
(g/100kcal中)

デキストリン
21.1
デキストリン
14.68
デキストリン、ショ糖
13.72
デキストリン、ショ糖
15.62

蛋白
(g/100kcal中)

アミノ酸
4.4
アミノ酸、
ジ・トリペプチド
4.05
蛋白質、ポリペプチド
3.52
蛋白質、
ポリペプチド
4.38

脂肪
(g/100kcal中)

大豆油
        
0.17 (極わずか) 
トリカプリリン
サフラワー油
2.78 (少ない)
トウモロコシ油

3.52 (比較的多い)
パーム油 シソ油  
大豆油 
トリカプリリン
2.23 (少ない)

繊維

なし なし なし なし

消化

ほとんど不要 ほとんど不要 一部必要 一部必要

浸透圧※1
(mOsm/l)

かなり高い
760(1kcal/ml)
高い
595~640
比較的低い
360
比較的低い
約400

味※2

悪い(アミノ酸臭) 悪い 比較的よい    比較的よい

※1 体液の浸透圧(280 mOsm/l)との差が大きいと浸透圧性の下痢を起こしやすいと言われています。

※2 味・フレーバーの種類

エレンタールのアミノ酸臭を少しでも改善するためのフレーバーには、青リンゴ、パイナップル、オレンジ、コーヒー、ヨーグルト、さっぱり梅、グレープフルーツ、フルーツトマトの8種類があります。
それでも気になる場合は、お酢などを少し加えることで改善できることがあります。

エレンタールはムースベースでとろみをつけたり、ゼリーミックスで固めることも可能です。
(いずれもフレーバーを併用します)

エンシュアリキッドの味には、バニラ、ストロベリー、コーヒーの3種類があります。
ラコールの味には、ミルク、バナナ、コーヒーの3種類があります。
さらにココア、コーヒー、レモンスカッシュ、グレープフルーツの4種類のフレーバーがあり、ミルク味にこれらを加えることで、また違った味を試すことができます。 ラコールとツインラインのフレーバーは共通です。

エレンタール用
フレーバー
エレンタール用
ムースベース
エレンタール用
ゼリーミックス
ラコール用
フレーバー
 
~当院における在宅経腸栄養法実施状況~

当院でも経口でエレンタールやラコール、エンシュアリキッドなどを摂取されたり、経管でエレンタールを摂取されたり、患者様の病状や好みによって栄養剤の種類や量、摂取方法は様々です。 長く続けることは大変なことですが、病状の落ち着いた状態を少しでも長く保っていただくためには、これらの栄養剤を食生活の中に取り入れることも1つの重要なポイントではないかと思います。

(ラコールの効果については別記をご参照ください⇒ ラコール )

当院では経管の場合、現在のところポンプは患者様に対し病院から貸し出しする形をとっています。  参考までに、現在当院で使用しているポンプは下記の3種類です。

ニプロキャリカポンプ CP-300 ニプロキャリカポンプ
CP-330
シャーウッドカンガルーポンプ
 
ちょっとした情報
 

エレンタールボトル

80g入りのエレンタール(袋)とは別に、80g入りのボトルタイプがあるのをご存知でしょうか?



エレンタールボトル


・ ボトルに水または微温湯を直接入れて溶解できる
・ボトルが使い捨てであるため清潔である
・昼間など経口で服用する場合は、ボトル専用のカバー、ボトルの先端の無料提供がある



・使用後はプラスチック(ポリプロピレン)の可燃物として処理できるがごみの量がふえる
⇒捨てる時は「注射禁」などの文字をマジックで消すなどの注意が必要?
⇒各自治体の分別基準に従う

長く服用していく場合、自分専用のペットボトル(例えば洗いやすい丈夫なボトル、自分に合った量のボトルなど・・・今はコンビニでペットボトルの先端も売ってあるらしいです)を持つほうがよい場合もあります。
どちらを選択するかは患者様次第です。
ボトルになってエレンタールが手軽に飲みやすくなったと喜ばれている患者様もなかにはおられます。ボトルタイプを使ってみたいと思われる方は一度医師に相談されてはいかがでしょうか?