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メディア掲載情報

【新聞】からだの質問箱 便器が真っ赤になるほど下血

2007-03-01
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読売新聞 「からだの質問箱」

便器が真っ赤になるほど下血

 58歳の夫が3年前と最近、便器が真っ赤になるほどの多量の下血をし、貧血で倒れました。
しかし、大腸や胃の検査では異常なしと言われます。原因が分からず心配です。(埼玉・妻)


回答:大腸肛門センター高野病院会長(熊本市)高野正博

 突然の多量下血に、びっくりされたと思います。
 考えられる第1の病気は大腸憩室症です。腸の内壁に袋ができ、その血管が破れて突然、多量に出血するのが特徴です。できやすい場所は、盲腸から上行結腸にかけてとS状結腸です。
 憩室は見逃されやすく、注腸造影検査か大腸内視鏡検査でよく調べてもらう必要があります。それでも憩室が複数あると、出血のない時にはどこから出血したのか分からないことがしばしばあります。
 第2の可能性は、大腸への血管循環が悪くなって起こる虚血性大腸炎です。S状結腸か下行結腸に生じやすく、何かの拍子にそこに来ている動脈が詰まり、文字通り虚血状態となって、粘膜にむくみやただれ、かいようが生じます。
 以上、この二つの病気でひどい下血が起こった時は、食事をやめて便が通らないようにし、腸の安静を保ちます。これで大抵はおさまります。
 第3の可能性は痔(主に内痔核)です。肛門のすぐ奥、直腸の一番下にある静脈の塊の表面が破れ、出血します。これは肛門の診察で分かります。進行すれば手術が必要ですが、さほどでなければ注射で治まります。このほか、種々の細菌による腸炎もあります。
 大腸がんもご心配のことと思いますが、がんでは多量の下血はめったにありません。また、胃からの出血の場合は真っ黒の便になります。大腸の病気に詳しい消化器専門医によくみてもらうことが大切です。

 

2007年3月18日(日)読売新聞掲載記事より引用(転載許可済み)


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