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医薬品情報

IBDの治療で主に使用する薬

ここでは当院で使用している薬を挙げて説明します。

〇腸の炎症を抑えるために使用する薬

《 5-ASA製剤 》

・内服薬

 

※当院で使用している薬剤


サラゾピリンは大腸の腸内細菌によって、スルファピリジン(SP)と5-アミノサリチル酸(5-ASA)に分解され、このうち5-ASAが腸の炎症を抑えます。
ペンタサやアサコールは5-ASAのみを含んだ製剤です。 

・外用薬:
局所に作用させたい場合は坐剤や注腸剤が使用されることがあります。
坐剤は直腸の限られた病変に用いられます。一方、注腸剤は直腸やS状結腸や下行結腸に病変がある場合に使用されます。

 
※当院で使用している薬剤

《ステロイド剤》
ステロイドとは、腎臓の上部にある副腎という臓器の外側部分の皮質で作られるホルモンであり、副腎皮質ホルモンと呼ばれています。このホルモンのうち、糖質コルチコイドという成分を化学合成したものを“ステロイド剤”といって様々な疾患の治療に用います。
副腎皮質ホルモンは常に体内で作られていて体に対する様々なストレスに対処するなどとても重要な働きがあります。病変の範囲と重症度によって投与方法と量を使い分けます。IBDの治療においても、初期の治療から多量のステロイドを使用することもありますが、症状が落ち着けば徐々に減量し、寛解時にはできるだけ中止することが望ましいと考えられています。治療薬として使用するなど、外部からステロイドを与え続けた場合は、外部からの刺激に対して体内で副腎皮質ホルモンを分泌する機能がはたらきにくくなります。そのため、急に内服を中止すると離脱症状が起こったり、症状が悪化することがあります。
また、ステロイド剤は副作用対策のために併用薬を工夫したり、減量を検討するなど必要があります。

 ※当院で使用している薬剤
 
※当院で使用している薬剤


ステロイド使用時に起こりうる主な副作用
・感染症:抵抗力が低下するため感染症にかかりやすくなります
・消化性潰瘍:消化管粘膜が弱くなるため潰瘍ができやすくなります
・骨粗鬆症:大量のステロイドは腸管からのカルシウムの吸収を抑えるため骨粗鬆症になることがあります
・高血糖・糖尿病:肝臓や筋肉で糖を作り易くし、糖の利用も低下させるため、血糖値が上がることがあります。
・高血圧:体内に塩分がたまりやすくなるために起こります
・ムーンフェイス(満月様顔貌)、体重増加:食欲亢進、脂肪の代謝障害によりおこります
・高脂血症   ・にきび   ・白内障、緑内障   ・食欲亢進
・不眠症、うつ状態   ・月経異常   ・多毛       など

離脱症状(ステロイド剤を急に中止することで起こりうる症状)
症状としては、食欲不振、全身倦怠感、悪心・嘔吐、発熱などが現れたり、ひどいときは血圧が急激に低下したり、ショックや意識障害を起こすこともあります。
自己判断で急にステロイド剤を中止するとかえって危険ですので、必ず医師の指示に従って内服してください。 なぜこのようなことが起きるのかはステロイド剤とは…をチェック。

《免疫調整薬》
免疫を調整することにより腸管の炎症を抑えます。サラゾピリン®やペンタサ®で寛解導入が困難な場合やステロイド剤の離脱が困難な場合に用いられることが多いです。

 
※当院で使用している薬剤

《生物学的製剤 (抗TNFα受容体拮抗薬) 》
炎症のある腸管ではTNF-αという物質が大量に生産されます。このTNF-αの生産を抑える抗TNF-α抗体と呼ばれる物質が炎症を抑えます。肺炎や結核などの重い感染症、ショック、遅発性過敏症などの副作用が現れることがあるため、定期的な診察・検査が必要となります。以下の生物学的製剤はステロイド依存性やステロイド抵抗性(あまりステロイドの効果がみられない場合)に使用する場合があります。 

※当院で使用している薬剤

潰瘍性大腸炎フロンティア・薬物療法について
http://www.remicare-uc.jp/uc/medicine.html

CDフロンティア・薬物療法について
http://www.remicare-cd.jp/crohn/outline/treatment/medicine.html

 

〇栄養療法について
潰瘍性大腸炎とクローン病では、治療における栄養療法の意義は異なります。潰瘍性大腸炎では薬物療法が中心であり、栄養療法は腸管の安静と栄養状態の改善を目的に行われます。一方、クローン病においてはTPN(完全中心静脈栄養)や経腸栄養などの栄養療法が重要視され、腸管の安静、栄養状態の改善に加え、下痢・腹痛などの症状改善や病変そのものの改善が目的となります。また、寛解の維持を目的に栄養療法が実施されることもあります。
経腸栄養法は、経口あるいは経腸的に栄養素を治療目的のため摂取することをいいます。経腸栄養療法は経口栄養法(口から摂取)と経管栄養法(管を使って摂取)があり、経管栄養法は鼻から胃や、十二指腸あるいは空腸まで管を入れて栄養剤を摂取する方法(経鼻経管法)と胃瘻や腸瘻などから摂取する(瘻管法)があります。

〇経腸栄養剤の種類と特徴(当院採用でないものも含む)
 
*1:アミノ酸として   *2:炭水化物として

エレンタールはアミノ酸の臭いを少しでも改善するためのフレーバー(10種)があります。
それでも臭いが気になるときは、お酢などを少し加えることで改善できることもあります。
また、ゼリーミックスで固めることも可能です。


 フレーバー(全10種類)
グレープフルーツ、マンゴー、青り:んご、コーヒー、ヨーグルト、さっぱり梅、オレンジ、パイナップル、フルーツトマト、コンソメ